要求性能の満たす③
差圧法によるガス透過率測定原理
差圧法によるガス透過率測定は、従来から行われていて新しい測定法ではない。
JIS K 7126-1の測定原理を引用する。
「試験片を,ガス透過セルの二つのチャンバ間に密封シールするような状態で装着する。低圧チャンバを真空排気し,試験ガスを高圧チャンバに導入すると,ガスが試験片を通過し,低圧チャンバ内に透過していく。試験片を通過する試験ガスの透過は, 低圧側の圧力上昇又はガス量の増加で示す。」
従来の差圧法で10-6g/m2/dayオーダーの水蒸気透過率が測定できなかったのは、先に述べたように容器壁からの放出水蒸気量を低減できなかったことと、真空ポンプの到達圧力が10-6g/m2/dayの水蒸気分圧を検知できるところまで達していないことによる。
提案した方法(ベーキングによる放出ガスの低減とタンデム型ターボ分子ポンプによる真空排気)によって10-6g/m2/dayの水蒸気透過量を測定できるようになった。
ここで問題となるのが、10-6g/m2/dayのような極微量の透過水蒸気量の高精度定量性である。真空計を圧力測定に用いると水蒸気以外のガス(H2, CO2, O2, N2等)透過も検知するため正確な値にならない。四重極質量分析計を用いると水蒸気及び水蒸気以外のガスの分圧測定が可能であるが長期間使用すると感度変化が起こり易いという欠点がある